あいうえおじゃまめこ

いろはにほへと

【あ】あたし

【あ】あたし

 

何時からあたしを使わなくなったんだろうか。

幼い頃、自分自身の事を名前で呼んでいた私はミルモでポン!のあずみの影響で突然「あたし」を使い始めました。小さい子にありがちな事とはいえ影響されやす過ぎだろ…でも、「あたし」から感じた大人っぽさと子供っぽさの狭間の香り、さっぱりとして勝気な雰囲気。もう、そんな一人称使わない訳が無かろう!!即座に使い始めました。

あたし、良いね。思春期真っただ中な感じ。学生服に身を包んだ女の子があたしって使ってるの羨ましいよ。「あたし」を使う子を見つけるとじ~~~っと見つめながら「彼女は何がきっかけであたしって使い始めたのかなウフフフ…」と一方的に妄想を始めます(キモチワルイ)。

「あたし」を使うようになった時、大人になったような気がして少しくすぐったかった。でも自分が「あたし」を意識する度にちょっとだけ強くなれたような気がして、自分を支えてくれました。

「あたし」は成長につれ大人の社会に関わる事が多くなっていって「私」を使わざるを得ない状況に出くわすことが多くなりました。「あたし」を捨てる時が来たのです。決別しなければなりません。

「あたし」との別れは寂しくて、辛くて、感傷的になってしまいました。なんでだよ!って問いただすともう「あたし」は自分の身の丈に合わない服なんだって事に気がつきました。

確かに「あたし」を捨てた時は寂しくて悲しかったけど、「もう私は「あたし」になることはないだろう」と思いました。もう充分に「あたし」を着こなせていました。着古していました。だからさようなら、あたしと言う私。初めまして、私と言う私。

「私」を使い始めた自分は大人になったような気がして背中のあたりがもぞもぞ、むず痒くなりました。これ、もしかしてあの時と同じじゃないのかな?

いつか私が似合う女になれると信じて、私は今日も呼吸を続けます。拙者とか使うようになってたら凄い面白いけど